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コロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史 (角川選書)

によって 山本 紀夫


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電子ブックコロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史 (角川選書)無料ダウンロード - 内容紹介 グローバル化はここから始まった!「コロンブス交換」が後の歴史に与えた衝撃は計り知れない。交換により生じた様々なドラマを取り上げ、「コロンブス交換」とは何であったのか、現代世界にどのような影響を与え続けているのかに迫る。 内容(「BOOK」データベースより) 15世紀末にコロンブスが大西洋を横断して以来、ヨーロッパからはサトウキビや小麦・牛・馬などがアメリカ大陸に持ち込まれ、アメリカ大陸からはトウモロコシ・ジャガイモ・トウガラシなどがヨーロッパに運び込まれた。世界のグローバル化が始まり、食文化にも多大なる影響を与えた。新旧両大陸による交流は「コロンブスの交換」と呼ばれるが、はたして正しい名称なのだろうか。コロンブスの功罪を作物・家畜・疫病の観点から掘り下げる。 著者について ●山本 紀夫:1943年大阪市生まれ。国立民俗学博物館名誉教授。京都大学卒業。同大学院博士課程修了。農学博士。民俗学、民族植物学、山岳人類学を専攻。1976年より国立民族学博物館に勤務。1968年よりアンデス、アマゾン、ヒマラヤ、チベット、アフリカ高地などで主として先住民による環境利用の調査に従事。1984~87年には国際ポテトセンター客員研究員。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 山本/紀夫 1943年、大阪府生まれ。京都大学農学部農林生物学科卒業、京都大学大学院博士課程単位取得退学。農学博士(京都大学)、博士(学術、東京大学)。国立民族学博物館名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

コロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史 (角川選書)の詳細

本のタイトル : コロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史 (角川選書)
作者 : 山本 紀夫
ISBN-10 : 4047035920
発売日 : 2017/1/25
カテゴリ : 本
ファイルサイズ : 23.18 (現在のサーバー速度は24.04 Mbpsです
以下は コロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史 (角川選書) の最も正直なレビューです。 この本を読んだり購入したりする場合は、これを検討してください。
『コロンブスの不平等交換――作物・奴隷・疫病の世界史』(山本紀夫著、角川選書)は、「コロンブスの交換」に対する、先住民側の観点からの異議申し立て書です。「コロンブスの交換」とは、何でしょうか。アメリカの歴史学者、アルフレッド・クロスビーが1972年に提唱した、新旧両大陸間の交流を指す言葉です。著者は、これに疑問を呈しているのです。「はたして『コロンブスの交換』ということばは正しいのだろうか。『交換』といえば、なんとなく対等の関係を示しているようだが、わたしの知る限り、この関係は対等どころか、きわめて一方的なものだったと思えるからだ」。すなわち、旧大陸側は大いに得をしたが、新大陸側はそれに見合うものを得ていないどころか、大きな損害を被ったというのです。著者は、作物、奴隷、家畜、疫病という4つの面から、この関係は不平等であったことを見事に証明しています。作物および奴隷について。「彼ら(コロンブス一行)はトウモロコシを初めとして、いくつもの新大陸原産の栽培植物を『発見』し、そのなかにはヨーロッパに持ち帰った作物もあった。その代表的な作物がトウモロコシであった。そのおかげで、ヨーロッパの一部地方やアフリカなどでは『食糧革命』といえるほど、トウモロコシのおかげをこうむり、人口が増えた地域もあった。この点から見れば、たしかにコロンブスの貢献と言えるかもしれないが、ここでほとんど忘れ去られていることがある。それこそが先住民たちの貢献である。トウモロコシの栽培化や改良には数千年の先住民たちの努力があった。それにくらべて、コロンブスはトウモロコシを『発見』し、それをヨーロッパに持ち帰っただけなのである。ジャガイモについては、もっと先住民たちの貢献が強調されてよい。そもそも、ジャガイモのヨーロッパへの導入にはコロンブスは何ら関係していない。あるいは、コロンブスはジャガイモの存在さえ知らなかったかもしれない。コロンブスがアメリカ大陸に到達した当時、ジャガイモの栽培はアンデスに限られ、カリブ海での栽培は知られていなかったからだ。・・・(ジャガイモは)寒冷な気候のせいで飢饉が頻発していたヨーロッパ北部で人びとを飢饉から解放し、安定した食糧源を供給するようになり、人口の増加にも貢献したのである」。一方、コロンブスが新大陸に持ち込んだサトウキビは、その栽培に必要な労働力としての奴隷制を拡大させ、奴隷供給源であるアフリカをも巻き込むという悲劇をもたらしたのです。家畜について。「コロンブスは第二次航海で、馬や牛、豚、羊、山羊、ロバなどの旧大陸産の家畜も連れてきた。これに対して新大陸産の家畜は乏しく、また、そこには家畜の放牧に適した草原があちこちに広がっていた。そのおかげで、馬や牛、豚などは野生状態でも猛烈に増え、とくに北アメリカの大草原やアルゼンチン南部に広がるパンパなどでは牛の飼育が一大産業になるほどであった。このような状態だけを見れば、作物とちがって、家畜については新大陸側が一方的にうるおった交換であったように見えるが、決してそうではない。それというのも、馬も牛も基本的に所有していたのはヨーロッパ人であり、家畜飼育の拡大とともに土地をめぐってヨーロッパ人と先住民との衝突が起こった。その結果、土地を奪われたり、虐殺された先住民も少なくなかったのだ。したがって、少なくとも新大陸の先住民側にとって、コロンブスによる家畜の導入は決して喜ばしいことだけではなかったのである」。疫病について。「コロンブスのアメリカ大陸到達以後、新大陸にもっとも大きな変化を与えたのは、旧大陸からもたらされたさまざまな疫病であると考えられる。そして、『疫病の交換』という観点から検討してみたが、疫病についても対等の関係ではなく、ほとんど旧大陸側の一方的な侵略とも言えるものであった」。「先住民を死にいたらしめたのは虐殺そのものより、スペイン人が持ち込んだ疫病の影響の方が大きかった。とくに、天然痘、はしか、インフルエンザ(、黄熱病、マラリア)などの疫病が抵抗力をまったくもたない先住民をおそったのである」。「アメリカ大陸の先住民は、ヨーロッパ人たちに出会うまで、ユーラシア大陸の病原菌にさらされたことがなかったため、それらの病原菌に対する免疫をもっていなかったからである」。ここは、正しくは、「病原菌、ウイルス、原虫」とすべきでしょう。一方、新世界から旧世界にもたらされた疫病はなかったのでしょうか。「じつは、ひとつある。それが梅毒だ。・・・ヨーロッパに梅毒が姿を現したのはコロンブスによる第一次航海のすぐあとの1493年であった。つまり、梅毒はコロンブス一行によってカリブ海地方から持ち帰られた、『コロンブスの航海土産』であったと考えられるのである」。「天然痘などにくらべれば、梅毒の致死率はさほど高くない。したがって、疫病がもたらした影響を考えれば、『疫病の交換』はあまりにも一方的であり、とても交換と呼べるようなものではなかった」。「ヨーロッパ人の目から見れば、(コロンブスのアメリカ大陸到達は)『発見』であったかもしれないが、南北アメリカの先住民にとっては、そこは『発見』以前から住んでいた土地であった。そして、そこにヨーロッパ人が文字どおり土足でずかずかと入り込み、ときには武器をたずさえてきたのだから、その渡来は侵略の名こそふさわしいものであったのだ」。本書は、コロンブスのアメリカ大陸「発見」は、新大陸「侵略」だったという歴史的事実を、私たちに突きつけているのです。

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